猫の病気について

◎新たな情報◎

FIPについて、さまざまな情報がとびかう中で、人のコロナの治療薬であるモルヌピラビルをFIPの治療薬として、すでにFIPに使用して効果がでているという話もあります。治験レベルであるかどうかは定かではないですが、金額はムティアンよりも安いようです。使用等については、獣医師に相談してみてください。

 

 

 《FIPについて》

大切に家族として生活している時、何時、誰に起こるか判らない猫の生態系上の大変恐い病気と言われています。

 

《猫腸コロナウイルスが原因ウイルス》

猫腸コロナウイルスは名前の通り猫の腸に寄生します。ウイルス自体はとても弱く自然界では生存出来ないと聞いています。

地球上に生存する猫の80%以上がこのコロナウイルスを持っているともいわれ、猫から猫へと感染します。ただ感染していても殆どの猫は生涯を全うしているという統計もあるようです。

 

《猫腸コロナウイルスは簡単に感染するウイルス》

感染当初は口腔内に暫くの間は存在し、やがて腸に移って増殖し細胞に入り込んでいきます。糞便にも潜んでいます。

複数飼育している場合、ほとんどの猫がトイレを共有していますので、簡単に短期間で感染してしまうようです。

 

《猫腸コロナウイルスは多種の形に変化をする》

猫腸コロナウイルスが突然変異したものを『FIPウイルス』と言われています。また、毒性の高いウイルスに突然変異した後は感染力は低下すると言われており、変異種の感染はないと考えられています。

何故、どんな理由で形を変えてしまうのか? 全く確証の無い、かもしれない? よくわかっていません。

 

《猫伝染性腹膜炎=FIPは、猫腸コロナウイルスによる感染症》

コロナウイルスに感染した場合、離乳したばかりの仔猫では、微熱、嘔吐、下痢などの症状が診られる事がありますが、成猫の殆どは症状が診られ無いか、軽い下痢を起こす程度です。この様に、コロナウイルス自体は感染率の高いウイルスですが、さほど脅威ではありません。

実際にFIPを発症するのは、コロナウイルスに感染した猫のほんの1~5%程度です。年齢的には全年齢層にわたっていますが、生後6ヶ月頃から2歳位の猫に最も多く発症し、また4~5歳にも同じようなピークがみられます。また、MIXよりも純血種の猫に発症例が多いとの報告もあるようです。

 

FIPはウエットタイプ、ドライタイプの2タイプに分別され、それぞれ症状は異なりますが、いずれも原因は明らかにされていません。ワクチンも無く、有効な治療法も確立されておらず、主に対症療法が行われています。症例が少ないために、感染経路の究明もワクチンの開発も遅れているというのが現状であり、発症すると必ず死に至る病気です。

製薬会社の実験などでは2年近く生きたという例も有る様ですが、通常は発症してから早くて10日~長くても2ヶ月で死亡します。比較的、延命治療の効果が現われやすいウェットタイプでは、1年かそれ以上生きる場合もあるようです。

 

《原因・感染経路とメカニズム》

コロナウイルスそのものへの感染は珍しくありませんが、なぜ一部の猫だけがFIPを発症してしまうのか、その原因は明らかにされていません。ほかのウイルスによる影響や、激しいストレスなどによって猫の免疫力が低下した場合、あるいは栄養不良や妊娠、外傷、ストレスなどが重なった場合、体内でコロナウイルスが突然変異を起こして『猫伝染性腹膜炎ウイルス』に変化し、変異したウイルスに対する激しいアレルギー反応が起こることで発症すると考えられています。

 

このように、コロナウイルス自体は感染猫の排泄物や食器、グルーミング、ケンカなどから感染しますが、FIPウイルスは猫の腸内で変化するものなので、猫同士の接触による変異ウイルスの感染はないとする学説もあります。

 

FIPウイルスが人や猫以外のほかの動物に感染することはありませんが、多頭飼いをしている中の一匹が発症してしまった場合は念の為、他の猫たちと食器やトイレ、生活空間など別にしておく必要があります。

 

《 症状 》

この病気の初期症状は様々です。一時的な食欲減退や元気消失、毛並みが悪くなる、体重減少、発熱といった典型的ではない症状を示します。猫によっては痩せてきても食欲は落ちなかったり、あまり発熱しなかったりと症状にバラつきがある為、病院へ行っても正しい診断ができないケースが多々あります。

4カ月齢の仔猫がFIPを発症する前には、発育不良であるとか、健康状態があまり良くないといった長い病歴がよくみられます。軽度のネコ風邪(慢性呼吸器感染症)がFIP発症前に見られる事も有ります。もちろんネコ風邪はほかのウイルスによるものですが、発育不良および二次感染は、成長と免疫反応を制御する軽度の疾患が続いていることを示しています。

 

臨床的には腹水や胸水が溜まるウエットタイプ(滲出型)と、神経・眼・腎臓・肝臓などに結節性の病変を形成するドライタイプ(非滲出型)に分かれます。比率としては前者の方が多いようです。いずれも全身に病変が形成されるため、おかされる臓器によって臨床症状はさまざまですが、以下にタイプ別に症状例をまとめてみましたので、参考にしてください。

 

<ウェットタイプ(滲出型)>

感染後、数週間~数ヵ月後に元気消失、食欲不振、発熱、腹囲膨大などのほか、貧血、脱水、黄疸や下痢などがみられます。 ウェットタイプの猫の約25%が、腹水や胸水、あるいはその両方に数ml~1000mlの水がたまり、その結果、呼吸困難を起こすようになります。早期に発見して水を抜き、炎症を抑える薬を使って症状を緩和させれば多少の延命効果はありますが、長期間「水」がたまり続ければ、ネコを衰弱させる結果になります。 通常、腹部痛や胸部痛は示さず、症状によっては腹部前下方に堅く小さな腫れ物を感じるときもあります。

 

<ドライタイプ(非滲出型)>

ドライタイプは、発病までの経過はウェットタイプとほぼ同様ですが、中枢神経系や眼に病変が認められる頻度が高いです。脳や脊髄ではその病変部位によって様々な神経症状(運動失調、行動異常、旋頭運動、眼球振盪、痙攣、意識障害、後駆麻痺、排泄の麻痺など)を示します。眼に炎症が認められる猫もいますが、必ずでるものではありません。眼がおかされた場合は、前・後眼房に炎症性滲出液や滲出物の貯蓄とブドウ膜炎、脈絡膜炎や全眼球炎を起こし、失明することもあります。

また、腎臓や肝臓に障害を起こすこともありますが、いずれにせよこの型の場合は、病変の存在する臓器の臨床症状を示し、特徴的な所見が乏しいため、FIPであるという診断が難しくなります。

 

<判断の難しい病気>

FIPの臨床診断は、病歴、身体検査所見、実験室検査成績、ネコ腸コロナウイルス抗体価、および類似疾患の除外によって行なわれます。しかし、この診断だけでは、FIPを確定診断する為の証拠は得られません。とくにドライタイプでは腹水や胸水の貯留がなく、診断確定をつけにくいようです。

ネコ腸コロナウイルス抗体価は血液検査で確認できますが、抗体は症状の有無で変動し、いつも一定ではありません。

一度の検査で低い値を出していても、期間を置いて再度検査することをお勧めします。二度目の検査でも抗体価に変化が見られない場合、コロナウイルスへの感染はないと考えてよいでしょう。

もし抗体価が上昇しているようなら、感染の可能性も考えられます。医師と相談して、引き続き詳しい検査を行ないましょう。

ただし、現在使われている抗体測定方法では、コロナウイルスへの感染は分かっても、それがコロナウイルス腸炎を引き起こす通常の感染なのか、FIPウイルスに変化したものなのかは確定できません。

 

<判定基準>

●検査の値が400倍未満の場合 ―感染は考えられません。

●400倍~3200倍の場合 ―感染が示唆されますが、感染・非感染のグレーゾーンです。臨床症状と併せて診断する必要があります。

●6400倍以上の場合 ―強く示唆されます。

 

 更にここで注意しておきたいのは(コロナ⇒変異したウイルス)FIPウイルス=FIP発症ではない、ということです。

FIPウイルスを持っていても発症しない猫は、全感染猫の85%もいるといわれています。食欲があり、他の症状も示していないようなら、あまり神経質にならない方が、飼い主のためにも猫のためにも良いことです。

 

<予防・感染を避けるために?>

FIPは多頭飼いや、免疫力が低下、個体差による人が判断しにくいストレスの大小、など、猫が発症しやすい病気であると考えられています。

その為、室内での快適な生活環境を確立して、猫の自己免疫力を高めることが第一です。と言いつつも人のコロナ感染を考えても、多くの方は清潔に心がけても、最大限の努力をしても何ら変わらず感染は拡大してしまう現状です。

「室内飼いに徹する事と、子猫の時からウイルスに感染する機会をできるだけ減らす為」と簡単に文字列では記載されていますが、現況、不可能、猫愛好家にとっては、単なる理想論でしかないですね。 残念ながら有効なワクチンは存在せず、予防できる手段はありません。

 

 (コロナウイルスは猫から猫へ簡単に移ってしまう事らしいです。他の猫と完全に接触を絶つのは難しいと思います。コロナウイルスは普通の消毒薬(薄めた塩素系漂白剤など)で殺菌できますので、トイレや食器をこまめに殺菌することも効果的です。)